05:スーパーカブ、エンジン腰上オーバーホール 前編
以前、納車時の整備をしたスーパーカブ。
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納車から10ヵ月近く経ったが、今のところ目立った故障もなく走れている様子。
しかし、1つ問題がある。
妙にエンジンオイルが減るらしいのである。大体2000kmで400mLほど消費するらしい。前回のオイル交換時にはゲージ一杯までいれたはずのオイルがほとんど入っていなかった。
これは確実にオイル上がりかオイル下がりを起こしている。
「オイル上がり」はシリンダーの傷やピストンの摩耗などが原因でクランクケース内のエンジンオイルが燃焼室まで上がってくる現象、「オイル下がり」はエンジンヘッドの吸排気バルブの付け根にある「ステムシール」と呼ばれる部品の不良によりヘッド内のエンジンオイルが燃焼室に下がってくる現象である。
症状の出るタイミングやオイルの消費の仕方などに若干の違いがあるらしいものの、両方ともマフラーから白煙を吹き、エンジンオイルが減るという点で似通っており非常に判別しにくい。
ちなみに以前同様の症状が出たタウンメイトはオイル上がりだった。
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今回のもおそらくはオイル上がりであると思うが、せっかくなのでオイル下がりの対策もしようと思う。
作業項目としてはピストンリングの交換と、ステムシールの交換を行う。
と、いうことで作業開始。
エンジン腰上を開けるための準備をする。とりあえずオイルを抜く。
続いてキャブレター。インマニの結合部とパイロットスクリューに何やらオイルのようなものが溢れてきたような形跡がある。
スーパーカブの燃料コックは何故キャブレターに合体しているのか...整備しにくい。
マフラーも外す。
内部が以前にも増して煤まみれである。心なしか重くなったような気もする。
できれば交換したいところだが、50ccにあう社外マフラーが少ないので今回は変えなかった。
ようやくエンジン本体に取り掛かる。
まず、カムスプロケットカバーを外してカムを取り外す。
一応、フライホイールのTマークをクランクの切り欠きに合わせておく。
別に合わせなくても問題ない。
カムスプロケットのボルトを緩めて、
カムスプロケットを外す。
カムチェーンは奥に落ちないように針金か何か引っ掛けて置くとよい。
ヘッドのボルトを外していく。
ここのナットは左下のみ銅ワッシャー、残りはスチールワッシャーで右下のみ普通のナットである。
中央の4本以外、左側面にもボルトがある。
ヘッドを外す。
湿ったようなカーボンが大量に付着している。写真左上の赤いシミはサビだろうか。
つづいて、シリンダー。
ピストンにもカーボンが多く付着している。
こちらも同様に左側面のボルトを外す。
あとここも。このボルトはカムチェーンガイドローラーの固定ボルト。
シリンダーが外れる。
外したシリンダー。
なんと内部が錆びている。写真に映っていない奥の方にもサビの痕跡があり、それが削れて周囲と僅かに段差になっているようだ。
おそらく放置されている間にシリンダーの内部が錆びており、再びエンジンを動かした際にピストンリングに削り取られたのだろう。その時生じた段差がオイル上がりの原因になっていたのではないか。
何にせよこのサビはどうにか落とさなければならない。
最後にピストンを外す。
ピストンピンクリップを外した後、ピストンピンを引き抜く。
ピストンだが、側面にまで汚れが広がっている。どうもオイル上がりを起こしているピストンはこうなるらしい。ピストンリングも摩耗していたが、そこまでではなかった。
以上でエンジン腰上の分解作業は終わり。
次回以降はヘッドのオーバーホール等をしていく。
~つづく~
04:スーパーカブの納車整備。 ~仕上げ~
前回の投稿からかなり時間が空きました。
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前回のエンジン塗装でめぼしい作業もほとんど終わり、もうただ残りを組み立てて走るしかありません。 今回で作業も終了です。
とりあえず、残りの細かい作業をしながら車体を再び元に戻していきます。
ウインカーも磨きます。
曇りや錆はある程度取れますが、メッキの下から浮き出た錆は取れません。
ピカールが一番やりやすいです。公式では推奨していませんが。
フロントスプロケットは純正の13丁から一つ上げて14丁へ。
50ccのままだと14丁が快適に乗れる限界かと思います。巡行と登坂、加速と最高速のバランスがちょうどよいです。
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こんな具合。チェーンは今回再利用しました。
キャブレターも清掃します。
実はこのキャブレター、オーバーフローしています。
オーバーフローの原因として考えられるのは、油面の調整不良、フロートバルブの破損、フロートバルブの受けの部分の面が出ていない、フロートの浮力不足、くらいでしょうか。
まず、順当にフロートバルブの受けの部分の清掃と部品の交換をしてみましたが、多少マシになったものの、完治せず。おそらくバルブは機能しているはずなので、経年劣化によるフロートの浮力不足でしょう。
カブのフロートはすべて樹脂で出来ており手で曲げて油面調整をすることはできませんので、こういう場合は部品の交換しかありません。
今回のオーバーフローの特徴は非常に長い時間をかけて溢れてくる、ということでしょうか。駐車してから溢れてくるまでに5時間くらいかかるので、治ったのかの判断が非常にしにくいのです。これは気のせいかもしれませんが、フロートの不良の場合は溢れてくるまでの時間が長く、バルブの不良の場合は短いような気がしています。
停車後に燃料コックを閉めれば漏れてこないので、ずっとそれで対応したまま、これを書いている今もまだフロートを交換しておりません...また次回に...
後は仕上げの作業です。
こういうブログに写真を載せるとき、作業の前に「やってる風」の写真を撮るのですが、かなり適当にとりあえず写真だけ撮ることもあります。この上の写真なんか、サスペンションの裏表が逆です。今気が付きました。
そんなこんなでひとまず走れるようになりました。
見た目もかなり綺麗になりましたが、乗った具合もだいぶ良くなったと思います。
オイル交換、タイヤ交換だけでも乗り心地が改善するものですが、各部のグリスアップやボルトの締め直しに加えて、前後ホイールのベアリング交換などがかなり効いているのではないかと思います。
納車直後は黒煙のような白煙のような煙を吐いて、色んな所がうるさかったですがそれもかなり改善しました。非常に歯切れのよい音でアイドリングも安定しています。
最後にレッグシールドをつけて完成。
前回塗装したエンジン部。
1987年製、今から30年以上前のカブとは思えないくらい綺麗です。
これで納車整備は終わりです。この調子ならもうしばらくは大きな修理などしなくても乗り続けられると思います。目指せ現役50年!!
~完~
03:YB-1の納車整備 ~組み立て その1~
前回の続き。
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ここまで解体したYB-1、清掃し各部を磨いたりしながら再び組み立てていく。
毎回やっているが、錆を止めるためにまずは錆転換剤を各部に塗っていく。
フェンダー裏はよく錆びるので入念に。
乾かした後、錆とメッキのくすみを落とす。
ヘッドライトも。
before.
affter.
前回外したエンジン。
排気ポートからピストンがよく見える。
これは.......傷...?
.....見なかったことにしよう...
キャブレターは右のクランクケースを開けたところにある。キャブレターの下あるのはオイルポンプ。
2ストエンジンはガソリンとオイルをキャブレターで混合させるので、4ストのキャブに比べてやたらチューブが多い。
キャブレターを外すには、シリンダーの付け根の近くにある穴からクランクケース内部にあるボルトを緩める。場所と穴の狭さからマイナスドライバーで外すのが現実的かと思う。
ボルトを緩めた後、ワイヤーやチューブを外してキャブレターを左右にグリグリ動かしながら引く抜くようにするとキャブレターが外れる。
白いプラスチックの部分が燃焼室へとつながっている。その上が前述のボルト。
やっぱり2ストと4ストは構造が全く異なると整備してみて改めて実感した。
動画は吸気ポートから見えるローターリーディスクバルブの動き。
ロータリーディスクはBBQで出てくるカボチャの輪切りによく似た部品。
キャブレターを開けた図。
今回、内部がかなり綺麗だったので清掃は簡単に済ませた。
フロート室の中心を貫通しているネジを外すとキャブレターが分割できる。
円柱上の黒い部品がフロート。メインジェットの斜め右下の部品がフロートバルブ。受けの部品と一体となっており、単体で取り外すことはできない。
エンジンの泥汚れを落とした後、再びフレームに乗せる。
ブレーキペダル等、清掃しながら組み立てていく。
リアサスは少し磨いたらかなり綺麗になった。
内部がドロドロに汚れた問題のマフラー、少しゆすっただけで写真のような泥と錆の混ざったような汚れが山ほど出てきた。
詰まり気味だったので焼いてみることにする。
前後からバーナーを突っ込んでしばらくすると、内部からパチパチと音がし始め、青白い煙がモクモクと出てきた。
焼けて乾燥したオイル達。
徹底的に内部のオイルを焼いてしまいたいところだが、あまりやると消防車が来そうなのである程度内部が乾燥したところでやめた。
仕上げに錆防止のため、耐熱クリアを吹く。
耐熱塗料は塗装後、180~200℃で30分程度の焼き入れが必要だが、今回はマフラーの熱で十分だろう。塗料はさびやすい裏側にだけ、やや薄めに塗った。
塗料が乾いたら車体に取り付けていく。
ガスケットは今回再利用したが、できれば変えたほうが良い。
ガスケットの部品番号は
エキゾースト側が 3MT-14613-00 (¥286)
マフラー側が 3NA-14714-01 (¥1023) である。
毎回思うが、組み立て作業に関してはあまり書くことがない。
ひとまずエンジン、マフラー、スイングアーム、リアフェンダーくらいを付けて今回は終わり。
残りの作業については
キャブレター取り付け→エンジン始動確認→ 後輪タイヤ交換、装着→前タイヤ交換、フロントフェンダー清掃→残りの部品取り付け→完成
といった感じになると思う。
~つづく~
02:YB-1の納車整備。 ~解体編~
前回の続き。
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納車整備の計画としては、1度ある程度まで解体してから各部を清掃、錆落とし等を行い、再び組み付けるという感じで行う。
以前スーパーカブを整備した際もこの通り行ったが、一度解体してしまったほうが結果的に清掃が楽であり時間もそこまでかからなかった。
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そういう訳で今回は各部の状態を確認しながら、ある程度までYB-1を解体していく。
初めに、エアクリーナーエレメントを確認。
エアクリーナーボックスはタンクとエンジンの間にある円柱の筒。ネジ一本で簡単に開くので大変ありがたい。
スポンジは案の定ボロボロ。完全に劣化しており触ると粉のようになり崩れていく。これがキャブレターに詰まると面倒なので新しいものに交換する。
続いてマフラー。
2ストオイルでドロドロに汚れている。セッティングがおかしかったのか、乗り方がおかしかったのかは分からないが通常はここまでならないのではないか。
当初、レバーを握ってもクラッチが切れなかったのだが左クランケケース部のネジを動かし、クラッチワイヤーを調節すると、きちんと切れるようになった。
張り付いていないようで一安心、それにしても、前のオーナーはクラッチが切れないのに一体どうやってこれに乗っていたのだろう...
ちなみにこのカバーは前のオーナーがDIYで銀色の塗料を塗ったらしく、塗料がフレームにかなり飛び散っている。
シートをはぐると、茶色かった。
タンクも外した。
7,2Lも入るタンクはCD50のものと比べて一回り大きい。
フレームの茶色い汚れは全て錆だと思っていたがどうやら違ったらしい。濡れ雑巾でふくとかなり綺麗になった。
元からついていたリアキャリア、やけにグラグラするなと思っていたら取付け金具が無い。
唯一この明らかに純正部品ではない謎の金属片で固定されていた。
YB-1専用のリアキャリアは、かつての純正オプション品であり生産が終了した今となってはかなりのレアパーツである。某オークションサイトでもこれと同程度の中古品が1万円以上で取引されている程だ。数が少ない上に高いので買い戻そうと思うとかなり大変なのだが、今回は必要ないとのことで、売ることにした。
ちなみにステーはエーモンから出ている汎用の取付金具で、十分に代用出来そうであった。(実際試した)
↓これ。
続いてマフラーを取り外す。
マフラーは2つに分割でき、それぞれ特殊(?)なナットで固定されている。
緩めるためには↓のような工具が必要。
外れた。外見はかなり綺麗。
内部は汚い。
チェーンを外すべく、左クランクケースを開けると栗のような何かが挟まっていた。どこを走っていたのだろう....
ベンリィ、カブとは異なり、スプロケットはクリップで留まっている。
前スプロケットは11丁と小さい。ビジネスバイクであることに加えて、一般的に低回転時のトルクが弱い2ストエンジンだからなのだろう。
クラッチを握ると写真中央の金具が回転しながら浮き出るようにしてクラッチに繋がる金属の棒を押し込み、クラッチが切れるという仕組み。
肝心のギアの部分がプラスチックでできており、若干頼りなく感じた。
チェーンを外した後、後輪タイヤを外す。
リアフェンダーは結構錆が来ている。
そのまま勢いづいてエンジンまで下した。固定箇所が多くて若干めんどくさい。
なぜキャブレターやワイヤー、ホース類を外さないうちにエンジンを下ろしてしまったのか... ホースが抜けて2ストオイルがこぼれたりと色々大変だった。
外したエンジン。
奥にあるのはタウンメイトの50ccエンジンだが、2ストエンジンと4ストエンジンの構造の違いが良くわかる。
最後に電装。
左のカバーを開けるとバッテリーやイグニッションコイルが見える。黒いプラスチックのケースを外すとレギュレーターとウインカーリレーがある。
ちなみにヒューズは平型で7.5A。バッテリー端子のコネクターに刺さっており、バッテリーを取り付けると隠れて見えなくなる。予備を入れるスペースがどこにあるかは分からなかった。
おまけにスイングアームやその他諸々を外したところで分解は終わり。
フロントまでやるとフレーム内部を通るメインハーネスまで外すことになりかなり面倒なのでそのままにしておく。
次回は洗車、錆止め、キャブレターのOHなどをやっていく。
~つづく~
01:YB-1の納車整備。 ~はじめての2ストバイク~
先日、隣の市まで出かけていたとき、小さなバイク屋の前を通りがかったのでふと寄ってみた。いかにも何も売っていなさそうな田舎のバイク屋ほど良いバイクが眠っていたりするもので、ベンリィで味を占めてからというもの、バイク屋を見かける度に中を覗き込んでいる。
そしてなんと今回は大当たり。2ストのYB-1が、それもかなりきれいな個体が置いてあるではないか。
すぐに店の人を呼んでこれは幾らで売っているのか聞いてみたところ4万円と言われた。
これは安い。
ヤフオクでも相場が10万円、グーバイクでは物によって20万円を超えるYB-1である。それが4万円は破格値だと言っても過言ではないだろう。
しかも近いので頑張ったら取りに行ける。
正直めちゃくちゃ欲しかったが、もうすでに車庫がバイク屋みたいになってきているので残念だが私は買えない。じゃあこういう時に我々のような人間がどうするのかというと大体、周りの人に「買ったらどう?」と勧めて回るのである。
早速、以前「YB-1欲しいよね」と話をしていた友人に連絡すると、「買う」と返事が返ってきた。
後日、その友人と、そして若干の罪悪感と共に実物を改めて見に行った。
見たところ燃料計の付いていないYB-1初期型、20年以上前の個体なので若干の汚れ、錆などはあるものの、転倒跡や目立った傷、凹みはなし。もちろん欠品もなし、キックは降りる、圧縮もある、そして走行距離なんと1700km台というかなりの良個体である。
これには文句なし。どこのバイク屋に行っても「50ccといえどもMTなら15万以上はするよ」と決まって言われていた時のことを思うと、何とも感慨深いような気さえした。
この日は「買います」とだけ伝えて店を後にした。
そしてその週末、意気揚々とYB-1を取りに行った。
カッコよい。
流石に今日すぐにはエンジンはかからないだろうと思っていたが、店主が何やらごそごそし始め、気が付くとエンジンが掛かっていた。
エンジンが掛かるので今回はかなり楽そうだ。
軽トラに乗せて持って帰る。
「これはなんぼでも出ますわ」と口を開く度に言っていた店主もなにやら嬉しそうである。ちなみに「これはいくらの値段をつけてもいくらでも売れますわ」というニュアンスの意味である。
道中。
無事に帰ってきた。
せっかくなのでYB-1とそっくりなベンリィ50sと並べてみる。
こうして見るとYB-1のほうがビジネス臭が無く、カッコいい。
そんな訳で、エンジンも掛かるし走れもするがしばらく預かって納車整備をすることにした。
次回からは一度車体を分解して清掃し、また組み上げる作業をしていく。
~つづく~
03:CD125Tレストア記。 ~エンジン腰上オーバーホール 分解編~
先日、バラバラに解体したCD125T。
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エンジン自体は11万キロ走っている割には状態は良い。先日エンジンを掛けた際にも特に異音もなく、すんなりと掛かった。
ただ、若干圧縮が逃げているような気がする。というのも、キックがとても軽いのである。もともとキックは軽いほうらしいのだが、50ccのタウンメイトよりも軽いのは流石におかしいのではないか。
それから、多少白煙も出ていたので、ピストンリングが幾らか摩耗していると思う。
11万キロも走っているのだから無理もない。
また、エンジン外装だが、非常に汚い。
これはどうにかならないものか。せっかく車体を綺麗にするというのにエンジンがこれだけ汚ければやっぱり直した感じがしない。
そういうことで、エンジンのオーバーホールをすることに決めた。
具体的にはピストンリングの交換と各部の清掃、場合によってはバルブ回りも掃除やエンジン全体の塗装もしようと思う。
今まで開けたことのあるエンジンはタウンメイトのみであり、それも1度きりなので幾らか不安が残るが、自分でやらなければ誰もやってくれないのでやるしかない。
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ということでパーツリストを片手に作業開始。
まずヘッドカバーを外した。
意外にも何が何だが分かるので大丈夫そう。
とりあえずヘッドのボルトを外す。
これはカムを固定している金具。ロッカーアーム付き。
一応、圧縮上死点に合わせてから作業をしていたが、こうしてロッカーアームごと外れてしまうのであまり意味がなかったかもしれない。カラーが入っているので無くさないように注意。
エンジン内部は意外ときれい。
次にカムシャフトを外す。
カムチェーンテンショナーを緩めた後、カムスプロケットの固定ボルトを外して、
カムチェーンをスプロケから外す。
これが地味に大変で1時間くらい掛かってしまった。スプロケにチェーンが食い込んでなかなか外れない。
このクリップを外して横から引く抜くようにしてカムシャフトを外す。
シャフトが抜けました、という図。次はヘッドを外す。
カムチェーンテンショナーの一部。
ヘッドを固定している数本のボルトを外すと
ヘッドが外れる。
11万キロ走ったピストンだが、想像以上に綺麗であった。
シリンダーは引く抜くだけ。
外したシリンダー。
内部はまぁ...(察し)
指でなぞった感じでは致命的な傷はなさそうなのでまだしばらくは使えると思う。
というか使うしかない。もうどこにも新品は売っていないから。
次はピストン。
クリップを外したのちピンを引き抜くと外れる。
かわいらしい小さなピストン。
割れやヒビ、致命的な傷などはなかった。
こういう擦れ傷はある...
という感じでエンジンの腰上がすべて分解できた。
シンプルな作りで、特に変わったこともないのでそれなりに上手くできたのではないかと思う。
11万キロという走行距離から内部がズタボロなのではないかと不安に思っていたが、カムシャフトやコンロッドなどはしっかりしておりまだまだ使えそうな感じであった。
次からは、バラしたパーツの清掃と簡単な塗装、それからピストンリングを交換し再度組み立てていく。
~つづく~
02:CD125Tレストア記。 ~解体編~
前回の続き。
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今回から車体を一度分解し、レストア作業を始める。
今回の記事ではただひたすら分解作業の画像を挙げていく。
個人的に購入前に車体がどういう構造になっているのか知りたくて仕方がなかったので、ひょっとして似たような人がいたら、僅かながらに需要があるかもしれないと思ったからである。
さっそく上から順に分解していく。
まずはシートを外した。
シートは後方の2本のボルトと前方のつめで固定されている。この車体は40年前のものだがなんとシートに一切の破れがなかった。
サイドカバーも外す。
左がキャブレター、右のでかい箱がエアクリーナーボックスである。中央の銀色の円柱状の部品はウインカーリレー。このバイクの中でおそらく最も賢い電子部品である。
エアクリーナーのスポンジは風化してボロボロになっていた。指で触るとポロポロと崩れる。この粉がキャブレターに詰まってエンジンがかからなくなるというのが放置バイク定番の症状。
エアクリーナーボックス。
すべて鉄で出来ているため非常に堅牢な作りでずっしりと重たく、これだけで1kg以上はある。何故この車両が車体重量140kgと400ccバイク並みに重たいのか、なんとなくその理由が分かってきた。
こちらは反対側。
左の部品はセルスターターリレー、右がバッテリー。バッテリー電圧は6Vで6YB11-2Dという品番。
ここにあるその他のパーツとしてはレギュレーターがある。
コードは5本。
燃料タンクを外すとなんだか濡れた猫のようにほっそりとした印象になった。
続いてキャブレター。
兄弟車のCB125Tはツインキャブだがこちらはシングルキャブ。エンジンの吸気負圧を利用して弁を動かすCVキャブである。
中を開けてみると、緑色の何かがべっとりついていた。
おそらく劣化したガソリンだろう。思っていたよりはずっとマシであったがやはりそれなりの期間放置されていたのだと分かる。
蓋。
これは「ダイヤフラム」という部品。これが破れると圧力が逃げてしまい、スライドピストンが動かなくなる。幸いにもゴムがまだ生きており、破れも一切無かった。
前回書いた通り、この車体はエンジンこそかかったものの、スロットルを捻っても反応がない。ダイヤフラムが破れていないということはどこか他に原因があるはずだが....
インテークマニホールド。
2気筒エンジンにシングルキャブレターなのでキャブ側から二つに分かれている。
マフラーも外す。
マフラーはここのボルトで固定されている。タンデムステップの固定もここ。
マフラーは結構デカい。残念なことに片方は腐って下のほうに穴が開いていた。
排気口はススまみれである。
途中経過。
イグニッションコイルのマウント部。
地味にここがどこにアースを繋いでいたのか分からなくなる。
続いてエンジンを降ろす。
これがまた、びっくりするほど重たい。
前輪、フロントフェンダーも外す。
「兜フェンダー」と呼ぶに相応しい重量感。拳銃の弾くらいなら弾き返すかもしれない。
メインハーネス。
リアブレーキランプのスイッチ。
メインキー。
内部が錆びて絶縁していたので分解清掃した。
内部には金属の小さな球が入っているので無くさないよう注意。
だいぶスカスカになった。
タンクのエンブレム。
フロントフォークも外して、
完全にバラバラになった。
今回はここまで。
ただ分解するだけだったので特に解説することもない。
次回はエンジンのオーバーホールを行う予定。
~つづく~
ジムニーJB23にブースト計をつけるだけ。
今回はジムニーJB23にブースト計をつけた。
理由は特にない。
今回購入したブースト計はこれ。
別にレースをする訳ではないし、かといって余りに安物でも嫌だということでこれにした。価格と性能のバランスがちょうど良い。
作業内容としては
・エンジンルームにセンサー取り付け
・センサーのコードを車内へ引いてくる
・カーステから電源を引いてくる
・メーター設置
である。
まずはセンサー取り付け。
ターボの圧力を取るため何のチューブかよくわからないこれをチョキン。
T字型のジョイントを割り込ませ、センサーへチューブを接続する。
付属でついてくるもチューブも、さっき切った黒いチューブも明らかにジョイントの径に比べて細い。そして固く伸縮性がないのできちんと奥まで入らなかった。
黒い小さな箱がセンサー。
センサーから伸びている線はメーターへ接続する。よって車内へどうにか通す必要がある。
そのためにまずはバッテリーを下ろして、
赤丸で囲った部分、ボンネットを開けるためのワイヤーが通っているこの穴を利用してセンサーのコードを車内へ通すことにした。
車内側からの視点。このゴムのパッキン(?)は引っ張ったら抜ける。
かなり狭いのでなかなか入ってくれない。
内部へコードが来たら、ドアとダッシュボードの隙間を這わせて、メーター取付位置まで持ってくる。
こうすれば収まりもよく、コードが暴れることもないだろう。
続いては、メーターの電源を確保する。カーステの裏から取るのが最も簡単。
説明書通りにコードを割り込ませる。
こんな感じ。
ちなみに付属でついてくるコードは短すぎるため、自作での延長が必要である。
↓こういうのがあると楽。
今回、メーターは運転席側のAピラーの付け根部分に設置する。
そこまでコードを回すのに、スピードメーターの裏を通すことにした。ネジを2本取ればカバーが外れ、比較的楽にアクセスできる。
裏を這わせればダッシュボード上がごちゃごちゃすることもない。
メーター裏にカプラーを繋いだら、
設置して完了。
メーターのイルミネーションの色は白とオレンジの二色が選べ、コードの接続の仕方によって変化する。今回は白にした。かなり明るく、日中でもよく見える。
ブースト計を設置したことでターボの動きがある程度見えるようになった。
まぁ、見えたところで何か車の性能が変わることがあるかといえば何もないのだが、アクセルワークに合わせてヒュンヒュンと忙しなく動くメーターを見ていると、なんだか運転が楽しくなった。
~おしまい~
タウンメイト、エンジンスワップの巻 50cc→80cc
「タウンメイト」というバイクに出会ってもうすぐで2年になる。
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一昨年春にまとめて3台購入したのだが50cc2台と80ccが1台、3台で9000円とかなりリーズナブルな価格設定だった。
最近ジャンク品でさえ3万円以上と価格が高騰しているスーパーカブとは異なり、メイトは人気がないらしい。
その後50ccの2台はそれぞれレストアし、元気に走っている。
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一方で80ccがずっと余っていた。同じバイクは2台もいらなかったので放置していたのである。
今や貴重な80ccのタウンメイト、せっかく免許もあるのだからこれを活用したいと思い立ち、今回は50ccのメイトに80ccのメイトのエンジンをスワップすることにした。
なぜ80ccの車体を起こさなかったのかというと、1から清掃して錆を落とし、各部の消耗品を総入れ替えするというレストア作業を今さらやるのが面倒だったということに加えて、キーを紛失しているせいで、燃料タンクのキャップが開かないという致命的な欠陥を抱えていたからである。
それにどうせ80ccに乗るならちょっとかっこいい色の2号車に乗りたい。
というわけでエンジンスワップ計画開始。
以下、作業の様子。
まずはエンジンの載せ替えを行った。
エンジンの着脱はエンジンが重いということを除けば、かなり簡単に行える。
エンジンを車体に固定している2本のボルトとインマニ、CDIにつながっている数本の線を外せばエンジンが降りる。
エンジンが降りた様子。
これが80ccエンジン。
吸排気のポートが微妙に広くなっているが、その他の寸法、重さ等は50ccのものとほとんど違いがない。
79ccというシリンダーの刻印がなければおそらく見分けはつかないだろう。
50ccエンジンは3速だったが、こちらは4速である。
元の車両は1990年前半くらいの製造で、電装は6Vだった。
載せ替え先の車体は以前、6Vを12Vへ変更する処理をしているので、これからこのエンジンは12Vで暮らしていくことになる。
ちなみにレギュレーターの変更によって電圧が変わるので、エンジン自体に加工などの処置は必要ない。
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元あったようにボルトで固定すればエンジンの載せ替えは完了。
載せ替えるだけなら、1人でも1時間かからない。複数人でやれば5分もあれば終わるだろう。
エンジン載せ替えのついでにカムチェーンの調整も行った。
聞くところによるとタウンメイトのカムチェーンテンショナーは自動で調整してくれない構造らしい。今まで3台のエンジンを見てきたが、総じて皆、チェーンがダルダルだった。
カムチェーンが緩むとアイドリング時のエンジン音がやたらうるさくなる。
チェーンのコマが飛んだりする前に調整するのが良い。
こうしてエンジンの載せ替えは終わったが、この載せ替えにあたって、他にも交換が必要な部品があるので作業は続く。
今回交換したのは、
・CDI
・マフラー
・キャブレター、インマニ
ここには挙げてないが、エアクリーナーと後輪タイヤも交換した方が良いパーツ。
まずはCDI。
手に持っているのが50cc用、奥のが80cc用のCDI。
80cc用は50cc用に比べてサイズが倍近く大きい。
おそらく自動進角の機能がついており、そのせいなのではないかと思う。(スーパーカブ90のCDIも自動進角の機能があり50cc用に比べてかなり大きいらしい。)
タウンメイトは50ccと80ccとで車体が共通なのか難なく取り付けできた。
カプラーやその他の配線はメインハーネスにそのまま接続できた。(ちなみに50ccエンジンに80cc用CDI、80ccエンジンに50cc用CDIはキボシの雌雄が異なるため取り付けできなかった。)
CDIに関しては接続が上手く出来さえすれば、50cc用のままでも走行には大して支障がないのではと思うが、出来れば交換した方が良いだろう。
続いてマフラー。
右が80cc用、左が50cc用。
80cc用の方が一回り穴が広い....??あまり違いが分からない。
こちらも微妙な差である。
取り付け部分は同じ寸法だったので、ステーの交換は必要なさそう。
排気ポートの径が異なるので当然ガスケットも交換の必要がある。
今回は買う余裕がなかったので80ccエンジンの排気ポートにへばりついていたものを再利用した。今のところ排気漏れは無い。
キャブレターも交換した。
こちらもパッと見た感じでは違いが分からないが一応50cc用から80cc用に交換した。メインジェットさえ変えればキャブ本体は50cc用でも問題ないように思えなくもないが、試していないのでどうなるかは不明。
手持ちの80cc用キャブレターは前オーナーの中華料理店の調理油に完全に内部が侵食されており、キャブクリーナーでもなかなか綺麗にならないため若干調子が悪い。
インマニもキャブとセットで交換した。
スピードメーターの交換もする。
50ccは60km/h、80ccは100km/hまで表示がある。おそらく50cc用のメーターままでは常時振り切ってしまうため、交換した。
メーターは裏から針金で固定されている。メーター裏に設けられたプラスチック製のつめに針金が引っかかっているのだが、経験上、経年劣化で大体折れている。
今回も例に漏れず、4本のつめの内2本が折れていた。固定強度に若干不安が残り、微妙にメーターが動くせいでフロント周りからキリキリと音がするがどうしようもないのでこのまま。
メインキーの交換も必須である。ネジ2本でメーター裏に固定されている。
また、メーターのイルミネーションだが、50cc用と80cc用では微妙に配線が異なる。
50ccには速度警告灯がついているが80cc用には無いという、ただそれだけの違いだが。
カプラーやキボシの規格は全く同じなのでポン付け可能。
最後にこれ、デファレンシャルギア。
タウンメイトといえばドライブシャフトがアイデンティティだ。それ故、スーパーカブ等のようにスプロケットの交換によるギア比の調整ができない。ギア比が変更できそうなパーツといえばエンジン腰下にあるミッションか、このデファレンシャルギアくらいである。
正直50ccと80ccでこのデファレンシャルギアのギア比が異なるのかどうかは不明である。実は50cc時代から、巡行中のエンジン回転数を下げようと思い80cc用に交換していたのだが、初めは若干変わったような気がしたものの、しばらく乗っているうちに分からなくなってしまった。
タウンメイトにはタコメーターがついていないため、エンジン回転数の比較が出来なかった。また、パーツリストを見てみたところ、50ccと80ccとでは部品番号が少し異なるようだが、ギア比までは書いてないので詳細は分からない。
変えても損はないが、正直違いがそんなに分からないので高い費用を出してまで交換する価値はないように思える。
今回は、手持ちがあったため、交換している。
その他、交換した方が良いパーツとしてエアクリーナーボックスがある。
今回は80cc用のホースがかなり劣化しており、キャブへの取り付けが容易でなかったため50cc用で代用した。50ccと80ccとでホースの太さが若干異なるが、50cc用でも問題なく走れる。
なんてことない部品であるが残念なことに絶版であり新品がもう手に入らないのでこれを機にパワーフィルターにするのもありかと思う。
それから、後輪のサイズも50ccと80ccとで異なる。
50ccのはリム幅1.2、タイヤサイズ2.25-17、80ccのはリム幅1.4、タイヤサイズ2.5-17である。交換しなくても走ることは走るが、メーカーも思うところあってサイズ変更しているだろうから出来たら変えた方が良い。ちなみにリムからサイズが違うので交換する場合はリムごと交換が必要である。おそらくスーパーカブやベンリィ、YB50などの後輪タイヤなら流用が効くのではないか・・・多分。
まぁ、タイヤ以前にブレーキが貧弱なのでそこをどうにかしたいと思うが・・・(ブレーキパッドの規格は共通の模様)
以上でエンジンスワップの作業は終わり。
大体3時間くらいかかったが、特に問題もなくスムーズに終わった。
当然このままでは公道は走れない。まず、市役所へ行って排気量変更の届け出を行いナンバーを再発行してもらわなければならない。また、自賠責保険に加入しなおすか契約先の保険会社へ連絡して、自賠責登録の変更をしてもらう必要がある。
まず、ナンバー発行に関して。
これは市町村によって異なるが、私の地元の場合、排気量変更の申請はかなり容易に行えた。必要になったものは
・印鑑
・以前のナンバープレート
・ナンバー交付の証明書
くらいであった。手続きとしては廃車→再登録という流れになる。
再登録の際に改造申請書みたいな書類に排気量変更の理由とその証明を記入するのだが、私の地元の場合は排気量変更の理由のみで変更したことの証明は不要であった。
そんなんで大丈夫なのか...
手続き自体は20分も掛からなかった。「こいつ怪しいぞ」と疑われるようなこともなくとんとん拍子で黄色いナンバーが交付された。
続いては自賠責保険の変更手続き。何もしなくてもステッカーを貼れ直せば大丈夫という意見を見たことあるが、ナンバー自体が変わっているのに果たしてそれで大丈夫なのだろうか。不安だったので保険会社へ行った。
必要だったものは
・印鑑
・自賠責保険証明書の原本
・ナンバー変更の際にもらうナンバー交付証明書
こちらも20分くらいで手続きが終わった。自賠責ステッカーも頼めば再配布してもらえる。手数料でもかかるのかと思っていたが、なんとタダ。
今度こそ全ての作業が終わり、ようやく公道に出ることができる。
最後に軽くインプレをして終わる。
50ccが5PS、80ccが6.7PSとカタログの数値上ではそこまでパワーに差が無いように思えるが、実際乗った感じは全く違った。明らかにパワフルで速い。そしてギアが4速まであるおかげで巡行が楽だった。これなら長距離のツーリングも出来そうである。
また、50ccの車体に80ccを積んだことに若干の不安があったが、そこは特に問題無かった。車体剛性も十分ありブレーキも意外と効く(フルブレーキは死である)。
ちなみにスイングアームは交換していないため、ステップが無く2人乗りはできない。そもそも50ccで1人乗り用として登録してあった車体なのだが、排気量変更の際に乗車定員がどうなったのかよく分からない。もっとも、端から2人乗りをする気が無いので別にこの先も困ることは無いだろうが・・・。
完全に思い付きで衝動的に作業を始め、次の日の昼には公道を走っていた。
結論としてはエンジンスワップして良かった。利便性も高まり、今後も長く重宝しそうである。
~おしまい~
01:CD125Tレストア記。
昨年夏、CD125Tというビジネスバイクを買った。
元々、バイクという乗り物に関心が無かった私が「バイクに乗るのもいいなぁ」と思い始めたきっかけがこのCD125Tである。以前1年間だけ京都に住んでいたことがあるのだが、ある日道路で颯爽とこいつが走っているのを見かけ、そのあまりにも古めかしいフォルムと125ccとは思えない存在感にすっかり惚れ込んでしまった。
その後、どうにかしてこのバイクが買えないかとあちこちを探し回り、昨年春にようやく地元のバイク屋で見つけたのがこの個体である。
もちろん不動、しかし部品の欠品はなく、最近まで動いていたらしい。バイク屋の店主曰く、前オーナーは88歳のおじいさんであったとのこと。店に売られたのが2~3年前のことだと店主はいうが5年以上は経ってそうな感じである。当時88歳なら今は・・・
メーターは1万1千㎞辺りを指していたが、前オーナーが大阪までこれで遊びにいっていたというエピソードから察するにおそらく10万kmを越え、一周しているだろう。
元々現状6万円ということで買ったのだが納車当日、引き渡される瞬間になって5万5千円に減額された。同情して値引きするくらいボロかったということだ。自分でも直せるか正直分からない。
CD125Tといえばまずシルバーメッキのタンクが思い浮かぶが、この車体のタンクはメッキではない。タンクが黒いのは1977年式の初期型と1979年式のCD125Tzというモデルのみである。
レッグシールドがついていたのと、タンクのラインの配色、エンジン左側のダイナモカバーの形状からこの車体は1979年式のCD125Tzだと分かった。今年が2020年なので1979年といえば、実に41年前である。私の生まれる20年近くも昔だ。
この年式の特徴としては電装6V、4速ロータリーミッション、そしてポイント点火ということくらいだろうか。
パッと見の外見はまぁまぁ綺麗であったが、近くで見てみるとため息が出るほど汚い。フレームの錆び方がまるでトタン屋根のそれであった。今時こんな錆び方をするバイクもずいぶん珍しいと思う。
車体重量140kgの鉄の塊、2気筒の125ccバイクなんて今後作られることがあるだろうか。エコだとか資源の節約だとか、そういう時代のバイクではない。最近は車さえも土に還る環境に優しい樹脂素材なんかが使われているが、このバイクはどこに埋めてもしつこく残るだろう。
肝心のエンジンは、思っていたほど悪くなかった。キックがスカスカなのは元からなのか、11万km走った代償なのかは不明である。ネットでは「CD125Tのキックは軽い」という意見が散見されるが、何と比較してそう言っているのかよく分からないのでなんとも診断できない。もし駄目なようだったら、もっとマシな純正中古シリンダーを買うか、通販で兄弟車であるCB125T用の補修用シリンダーセットが売っているので買って試してみようかと思う。互換性があるかは分からないが。
とりあえずオイルを交換した。
腐ったミルクティーみたいなオイルが出てきた。うまく写真に写らなかったが、所々白っぽくなっており、どうやら雨水でも入り込んで若干乳化していたようである。
この車両の放置期間がバイク屋の店主が言った期間より実際はもっと長いのではないかと思ったのはこのオイルを見たからだ。
オイルを交換した後、キーを回してキックをすれば火が飛ぶようだったので試しにエンジンを掛けてみた。
元がどんなもんか分からないが、思ったよりも弱々しい感じがする。
ポイント部のコンデンサーに寿命が来ているらしく、接点からバシバシと火花が散っていた。
今まで整備経験のあるCD50sやタウンメイト、スーパーカブc50などは、点火と灯火で回路が分かれており、バッテリーが無くても問題なくエンジンが始動し走行もできたが、どうもこのCD125Tはバッテリーが弱っているとスパークも弱くなる。動画中でストールしたのはヘッドライトのスイッチを付けて電力が足りなくなったからだ。
せっかくエンジンが掛かったので「どれ、吹かしてみよう」と思いスロットルを捻ったが全く反応がない。このバイクのキャブは負圧キャブなのでダイヤフラムが破れているか、スライドピンが錆びて固着しているか、もしくはエンジンの吸入負圧が弱すぎるらしい....ドライバーをキャブに突っ込んでスライドピンを動かすとちゃんと吹け上がった。しかし、どうやらオイル上がりを起こしているようで右側のマフラーから青い煙がもくもくと出ている.....。
しばらくエンジンを掛けて遊んでいたが、ある時を境にプスンと止まってそれ以降全く掛からなくなってしまった。きっと久しぶりに動かしたから何処かの電子部品が壊れたのだろう。部品の規格が古く絶版パーツも多そうなので、汎用品で代用できるように改造しなければならないし、フレームの奥のほうから汚く錆びているのも気になるので、今回のレストアは全部分解して清掃、塗装した後、再度組み上げることにした。
まともに買えば20万円以上、最近では40万円を超える個体まで出てきたCD125T、あの日京都の町中で見たように颯爽と走れる日が来るのだろうか・・・。
~つづく~